2019年、明けましておめでとうございます!
今回は、大学病院になぜ消耗しながら残っているのかを書いていこうと思います。
最近、無給医が話題になっていますね。
しかも、無給医は大学病院に多い傾向があります(大学病院以外でもあると聞いたことはあります)。
わたしは、無給医とまではいいませんが、かなり近い状態で2年ほど働いていたことがあります(その期間はバイトでつないで暮らしていました)。
無給医問題は早急に改善されるべきですし、わたしもそう願っています。
できることはどんどんやっていきたいです。
ただ、消耗したので大学病院をやめたという話はよく見ましたが、大学病院に残っている人の話はそんなになかったように感じます。
そこまでして消耗してまで、なぜ私は大学病院にいるのかを、わたしなりにまとめてみました。
大学病院にいる医師は、あまり大きな声ではこのことを異議申し立てませんからね(笑)。
あと、この意見はわたし個人の意見なので、ななめ読みで楽しんでもらえたらと思います(笑)。
Contents
大学病院にいる理由は6つ
私は、医者人生の多くを大学病院で働いています。
自分で言うのも何ですが、大学病院の勤務は過酷であり、なのに、給料は安いです(笑)。
ですので、俗に言う、医師バイトで生活費を稼いでいます。
収入の7割程度がそのアルバイトによるものです。
世の中には、たくさんの病院があり、大学病院、基幹病院、一般総合病院、開業医のクリニックなどがあります。
給料や仕事内容だけを考えると、多分、大学病院が時間給で考えたら、一番下なんじゃないでしょうか。
大学病院はただのマゾの集まりかというと、間違いではないような・・・(笑)。
しかし、そんな中でも、大学病院にいる理由はあります。
私の場合は、大きな理由は6つです。
①まれで珍しい患者が集まる、先進医療や高度な医療が行える

先進医療が行われているのは、大学病院などの大病院が多いです。
先進医療とは、高度の技術陣と施設設備を持ち、厚生労働大臣が承認した治療のことを言います。
なぜ、大学病院に多いのかというのは、まず設備の問題はあると思います。
大学病院が、いろんな設備が整っていることが多いです。
さらに、大学病院はいろんな疾患の患者さんが多く集まりやすいです。
先進医療を適応できるのは、基準が決められています。
ですので、患者さんが少なければ、治療できる患者さんも少なくなってしまう恐れがあり、患者さんが集まる大学病院で行われることが多くなります。
また、一般病院から大学病院に紹介することにより、一般病院は加算がとれますので、珍しい病気の患者さんや重い症状の患者さんをリスクをとって見る必要はないため、一般病院は大学へ紹介しようとするわけです。
私たち大学にいる医師達は、珍しい病気の患者さんに診療にあたることができるわけです。
わたしは、このような珍しい疾患の患者さんの診療や先進医療を行いたいと思っているから大学に残っているというわけです。
②研究ができる(むしろしなくてはいけない)

大学病院は、患者さんの診療だけでなく、研究機関でもあります。
新しい研究をし、日々医学の進歩を目指しています。
しかし、研究というものは、これも資金や設備がないと行うことはできません。
わたしたちの医局では、ロボットを使った研究も行っています。
とても興味深く研究をしているわけですが、このような研究には、当たり前ですが多額の資金が必要です。
大学には、国の予算、科研費など、ある程度の研究費用があり、研究を行えるってわけですね。
毎年、私たちは、その研究費用を取得するために、科研を出し、予算がつくようにしています(これがまた大変・・・笑)。
③人がたくさん集まっている
大学病院の構造は、医局というものがあります。
その科の教授(ボス)がいて、そこに入局したい研修医が毎年新入局員として入ってきます。
私たちは、入局者を増やすためにいろいろな努力をしています(笑)。
医局にはこのようにたくさんの医師がおり、そこから、一般病院への派遣などがされています。
いろんな人がいる分、いろんな得意分野を持った人がいるんです。
器用な人、医師としての得意分野もそれぞれ違う、論文を書くのが得意な人、統計処理が上手な人、英語が得意な人、厳しい人、優しい人などなどたくさんの人が混在しているため、自分が困ったときに相談しやすいです。
また、自分が病欠してしまったときなど、医局であればお互いカバーし合うことも可能です。
例えば、一般病院だと2,3人でその科を切り盛りすることもあります(1人のことも)。
人間関係で合わない人が一緒だとなかなか厳しいものがあるのです。
その病院に一生いるわけではないのですが、合わない先生と数年、二人っきりで過ごすのは辛いです・・・(苦笑)。
大学病院にいれば、そんな心配はしなくてすむわけです。
④教育に関わることができる(これもやらなくてはいけない)

大学には、医学部学生、看護部学生がおり、講義をしたり、ポリクリといって病院の診療や研究を直に実習する制度があります。
その教育を私たち大学病院医師は、診療と同時進行に行わなくてはいけません。
今年は、学生講義、認定看護師講義、試験監督、毎週のポリクリ指導などなどを行いました。
わたしは、診療もあるため、正直忙しすぎる!と感じることもありますが、学生に講義することは、自分の成長に繋がります。
人に教えるのは、本当によく分かっていないと無理ですよね。
適当は通用しません。
ですので、基礎の基礎からもう一度勉強するチャンスになります。
また、学生と話したり教育することで、フレッシュなパワーをもらえます。
と前向きに考え教育にあたっています。
⑤田舎だから(医局をやめるといいことが少ない)
私の病院は、地方大学病院です。
地方大学病院は、基幹病院や一般病院ともに大学病院の派遣から医師を補充しています。
逆を言えば、個人で動くことは本当に難しいです。
最近は、医師派遣会社も増えており、わたしも、バイト探しに利用したことがあります。
このときは、良いバイト先をみつけることができたのですが、
担当の方とお話したときに、地方は大学病院により病院を握られているため、都会より派遣会社が動きづらいと言っていました。
とういうこともあり、今後、基幹病院で働きたい場合は、大学病院にいるのが一番手っ取り早いと考えています。
⑥なんだかんだ教授が好き
これがわたしの病院畜の根底だと思います(笑)。
わたしは、教授が好きです(もちろん人として、笑)。
ものすごく頭が良く、厳しい教授ですが、好きです。尊敬しています。
何度も厳しく指導されたかはわかりませんが、その時の指導が今役に立っています。
そのときは、「明日、医局をやめよう、明日、やめると言おう」と毎日思っていました(笑)。
診療、研究、論文や学会発表、学生指導などすべて教授に厳しく指導してもらったため、抵抗がなく、今となれば、すんなり取り組めますし、面白いと思えます。
ボスが好きな会社なら残りたいと思う、何かの役に立ちたいと思うわけです。
もう最後はこの理由しかないですね!
まとめ
今回は、私が大学病院に残っている理由を挙げてみました。
自分でも再確認できた感じです。
こんな私でも、大学が本当に辛く、毎日、長時間労働、当直をこなしながら、研究などで、大学を辞めてしまおうと毎日思っていた時期があります。
それを耐えたからこそ今があると思いますが、一般病院に移ってもよかったのだろうなとも思います。
人生はいろんな選択肢があり、わたしは、こうやって今も大学病院で消耗しています(笑)が、消耗といいつつ、楽しんでるやつもいるということです。
無給医問題が改善され、さらに良い大学病院になるためにできることはしていきたいですね。
いつかは大学病院を卒業し、のんびりライフしたいなぁと考えています!
長文読んでいただきありがとうございました。
医者にはいろんな選択肢があり、素晴らしい先生方がたくさんいます。
大学病院で消耗するのもよし、一般病院で働くのもよし、開業するのもよし、といろいろな選択肢のなかから、自分にあったスタイルを選べば良いと思います。
これを読んで、大学病院はこんな感じなのかぁ、こんな、しがない医師もいるのだと、誰かの参考になると幸いです。
2019年も本業で適度に消耗しながら、ブログや資産運用頑張っていこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
皆様にとって、素晴らしい1年でありますように!